心身とも重度障害が認められる子供は、重症心身障害児と判断されます。具体的には、自力での歩行が困難、うまく会話をこなせない、という両方を満たす場合です。難治性てんかんや胃食道逆流など、他症例を併発するケースもあり、生活補助のみならず、医療ケアを要することも珍しくありません。
とはいえ、重症心身障害児が寝たきりや無感情とは限りません。2018年、福岡県の介護実態調査によると、18歳未満の重症心身障害児において、24.3%はからだを起こすことができ、14.7%は歩行可能だったと言います。人工呼吸器を使用したり、歩行訓練を実施したりすることで重篤な障害を改善させる可能性が高まるでしょう。

看護するにあたり、本人ばかりでなく、患者家族に対してもケアが必要です。重症心身障害児の家族は、重い負担を強いられます。例えば、要看護者の家族は平均睡眠時間が約5時間と、一般人の平均睡眠時間7時間を下回ります。また、金銭面での負担も大きく、心身ともに疲弊しきってしまうケースが多いでしょう。
身内だけで看護を進めていた家族は、外部へ看護を委ねることに罪悪感や不安を覚えます。たとえ看護から解放され、時間や身体の余裕を取り戻したとしても、精神的な負担が残ってしまうのです。そのため、看護の協力を申し出るには、その家族の疑問や悩みと向き合い、心をほぐしてあげる気遣いが求められます。

介護から来る疲弊感を和らげ、患者家族の日常生活を取り戻すためのサポートも看護の一環です。そのためにも、受け入れやすい、頼みやすい看護体制を敷く必要があるでしょう。